
2019年に刊行された「本のサナギ賞」第4回大賞作品『禁じられた遊び』。

audibleに登場したので早速聴いてみましたが、恐ろしい。霊的な怖さとゾンビ的な怖さ。
「ママはもうすぐ生き返るよ」遊び心で発せられた言葉がすべての始まりだった。生きた人間の持つ不思議な力に憎しみが加わり、それが呪いに変わり、怪奇現象となって襲い掛かる。幸せの象徴であるマイホームの庭がおぞましい呪いの舞台に。
この本は10万部を突破しているベストセラー小説で、本書を原作とした実写映画が2023年9月8日に公開されます。『リング』や『スマホを落としただけなのに』、『事故物件 怖い間取り』などを代表作に持つ中田秀夫さんが監督を務め、橋本環奈さんとジャニーズWESTの重岡大樹さんのW主演という豪華キャストで贈る、この夏ぴったりのホラー映画です。
そんな注目の映画の原作小説が、耳で楽しめるオーディオブックのaudibleで楽しめます。作品自体の面白さはもちろん、ファイルーズあいさんのナレーションにより臨場感あふれる情景が目に浮かび、恐ろしさ、おぞましさもよりいっそう襲い掛かってきます。
audibleには30日間無料体験ができるので、書籍の本とは違う聴く読書の魅力を味わってみませんか?

清水カルマ著『禁じられた遊び』

禁じられた遊び
著者:清水カルマ
2018年、第4回本のサナギ賞大賞を受賞。翌年に刊行された受賞作『禁じられた遊び』は瞬く間にベストセラーになり、話題を呼ぶ。著書には同シリーズ『カケラ女』『忌少女』(ともにディスカヴァー文庫)などがある。
ナレーター:ファイルーズあい
朗読を担当するのは、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』空条徐倫役や、『チェンソーマン』パワー役などを務める人気声優・ファイルーズあいさん。今回が初のオーディオブック朗読です。

あらすじ
主人公・伊原直人は、妻の美雪、息子の春翔と共に幸せな生活を送っていた。
しかし、念願のマイホームを購入した矢先、美雪が交通事故で命を落とす。
絶望する直人に対し、春翔は「ママを生き返らせる」と、美雪の死体の指を庭に埋め、毎日熱心に祈りを捧げ出す。
同じころ、フリーのビデオ記者、倉沢比呂子の周囲では「誰も乗っていないエレベーターが動き出す」「部屋の中にカラスの死骸が突然あらわれる」など奇怪な出来事が次々に起こり始めた。
直人の元同僚である比呂子はかつて、美雪から直人との不倫を疑われていた。
その際も奇怪な現象に悩まされ、精神を病んだ比呂子は、怪奇現象は美雪の持つ不思議な力のせいだ、と確信していた。
過去の経験から、今回も美雪の呪いのせいであると考えた比呂子。しかし、美雪はすでに亡くなっていることを知る。
事態の真相を明かすため、直人の新居を訪ねた比呂子は、そこであまりにも異様な光景を目にする…。
amazonより引用
登場人物
◆伊原直人・・・念願の家を購入した矢先に妻の美雪を亡くしてしまう。息子の奇怪な行動を容認する。
◆美雪・・・直人の妻。交通事故で亡くなる。超常的な能力を持っていた。本作の元凶。直人の妻だったが、交通事故で他界。怨霊として直人達の前に現れる。
◆春翔・・・直人と美雪の一人息子。母の死を受け入れられず、生き返らせようと奮闘する。
◆倉沢比呂子・・・フリーのビデオ記者。かつて直人に好意を寄せていた。
◆柏原亮次・・・やり手ディレクター。比呂子に好意を抱く。
◆大門・・・元々は真言宗の僧侶だったが、素行不良で宗派を追われ、現在は霊能力者としてテレビに出演している。
物語のポイント
■美幸の持つ霊的な力
美幸には子供の頃から不思議な力が備わっていました。中学生の頃いじめられて体育館に監禁された時、いじめた相手がことごとく事故などで大けがを負うことに。美幸にとって嫌な想い、辛い想いが呪いとなって相手を襲っているんですね。
5年前にも直人の気持ちが比呂子に惹かれているのを感じ、嫉妬と憎しみを抱えた生霊として、比呂子の周囲で奇妙な現象を起こし、その影響で比呂子は会社を辞め精神病院に入院することになってしまいます。
交通事故で命を落としてもなお怨念にまみれ嫉妬に狂う「美雪」、本当に恐ろしいです。
■すべては遊び心の些細な嘘から始った
ある時、春翔がトカゲを捕まえようとして逃げられた際にきれた尻尾を見て、直人が尻尾を土に埋めて水をやり、「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム」と呪文を唱えると尻尾からトカゲが再生すると教えました。さらに、わざわざ生きたトカゲを捕まえてきて土に埋めて、土から這い出てくるのを春翔に見せて本当に再生してきたかのように見せています。純真な心を持つ子供は信じちゃいますよね。なんてほのぼのとした話なんでしょう。
こんな心がほっこりする出来事がおそろしい怪奇現象の始まりとなってしまいます。
春翔は事故にあった美幸の指を庭に埋めて、毎日水をやり「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム」と呪文を唱え美幸を復活させようとします。
ここから呪いの化け物とかした美幸の再生が始まるのでした。
■子供の母を想う純粋な想いが呪いを生む
春翔はただただ愛する母の復活を願い毎日美幸の指を埋めた場所に水をやり、呪文を唱え、話しかけます。あるとき直人は土の盛り上がりが大きくなっているのに気づきます。まさかまさかの出来事です。
美幸の恐ろしい霊的な力は死してなお存在するのか?と思いきや、実は春翔に受け継がれた力が美幸の恐怖の復活、そして怪奇現象を引き起こしていることがわかってきます。
母の復活を邪魔するものは誰だろうと許さない。純真な母を想う思いが恐ろしい呪いを生み出しているのです。
土に埋まっている母と会話する姿、父である直人に対する憎悪の態度、ただただ愛する母を復活を願い、邪魔するものは何者でも許さない春翔の姿は切なくもあり恐ろしくもあります。
■比呂子に襲い掛かる怪奇現象の数々
パソコンの画面に現れ、異臭を放ち画面から這い出てくる虫。いきなり部屋に飛び込んできて比呂子を睨みつけながら死んだカラス。たまたま撮影されたVTRに映っている比呂子にまとわりつく白い影。これらはこれ以上私たちの邪魔をするなという警告なのか?
その後、まわりの霊感があるといわれる人たちが美幸の怨念に乗っ取られ、体を操られて比呂子に襲い掛かります。
■直人の心情
直人は土の下から蘇ろうとしている美幸のことをただ恐ろしいと思っているわけではありません。美幸をこんな姿に変えてしまったことへの罪悪感、姿が変わろうとも美幸は愛する妻であるということ。このまま美幸が体を取り戻すことになれば、大変なことになってしまうことはわかっているのだが、本当に死の世界に葬り去ることができないでいます。
後悔、恐怖、絶望が直人の心をボロボロに蝕んでいきます。
■美幸の呪いから抜け出すことはできるのか?
美幸の怨念は比呂子だけではなく、比呂子が関係する人たちにも危害を加えるようになってしまった。このままでは美幸に殺されてしまう。
比呂子は土の中の美幸を永遠にこの世から滅亡させるため直人の家に向かいます。直人は愛する妻を葬り去るのは自分でなければならないと覚悟を決めるが、最後のとどめを刺すことがどうしてもできません。土の中から美幸のすすり泣く声が聞こえるのです。ここからの展開がかなり恐ろしいです。
日が暮れるとともに土の中から蘇った美幸。その姿は元のままの美しい姿。と思いきや悪臭とともに膿を吹き出し、ガスが溜まり体が膨張。見るに堪えない悍ましい姿に変貌します。そしてまた再生して美しい姿に。まだ完璧に再生しきれてない状態で土から出てきてしまったため、腐植と再生が繰り返されているのです。
こうなってしまうと生身の人間が呪いの化け物にかなうはずもなく、比呂子と直人は逃げることしかできません。ここからはゾンビ的な悍ましい恐怖と嫉妬と憎しみの呪いの恐怖がとめどなく襲ってきます。終わったと思ったらまだ続く。美幸を死の世界へ葬り去ることは可能なのか?
■恐ろしくも切ない結末
え!そうやったん!え、そんなぁ!これが僕の感想です。
美幸の復活、恨みや妬みを呪いの力に変えていたのは春翔だったのです。
直人が美幸を葬り去るには家ごと焼き尽くすしかないと、今まさに灯油がまかれた庭にジッポで火をつけようとしたその時、直人の実家にいるはずの春翔が現れるのです。
春翔の怒りの力なのか、突然嵐が巻き起こり、物凄い風が吹き荒れる中、一筋の光が春翔を直撃し辺りは火の海と化します。春翔も炎に包まれてしまいます。
呆然と立ちすくむ直人の元に、炎の中から一匹の犬がヨロヨロト歩み寄り、息絶えます。口には春翔の衣服の切れ端と小さな肉塊が。
直人がその春翔の肉塊をどうするか、もうおわかりですよね。
「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム」
感想
この作品の恐ろしさは、美幸の嫉妬や憎悪からなる怨念が引き起こす怪奇現象と美幸が復活する際のゾンビ的な悍ましい恐怖が混在しているところです。特にクライマックスの比呂子と直人に襲いかかる場面はほんとに悍ましくて怖いです。
でも、一番恐ろしいのは春翔です。無邪気に純真に母の復活を願い毎日呪文を唱え続ける姿、切なさや哀愁も感じますが、実は自分には母を復活させる力があることをわかっているのでは?と思えます。
死体の一部を土に埋めて、呪文を唱えれば復活する。もしそんなことが可能なら、最愛の人を復活させるためなら誰でもやるんじゃないでしょうか。
残念ながら僕にはそんな力はありません。直人にもないでしょう。
この物語は恐怖の裏に、愛する人を失いたくない、ただ愛する人とずっと一緒にいたいと思う強い心があっただけなのかもしれません。
愛するということはこんなに恐ろしいことでもあるんですね。
映画情報

キャスト・スタッフ
- 倉沢比呂子 – 橋本環奈
- 伊原直人 – 重岡大毅(ジャニーズWEST)
- 平岡麻那 – 堀田真由
- 柏原亮次 – 倉悠貴
- 伊原春翔 – 正垣湊都
- 黒崎邦明 – 猪塚健太
- 川崎 – 新納慎也
- 野田修子 – MEGUMI
- 村田サチ – 清水ミチコ
- 大門謙信 – 長谷川忍(シソンヌ)
- 伊原美雪 – ファーストサマーウイカ
- サチの夫 – 諏訪太朗
監督:中田秀夫(「リング」「スマホを落としただけなのに」「事故物件 恐い間取り」「“それ”がいる森」)
企画・プロデュース:平野隆(「スマホを落としただけなのに」「糸」 「ラーゲリより愛を込めて」)
禁じられた遊びふたたび
『禁じられた遊び』待望の続編です。恐怖はまだまだ続くのですね。

あの恐怖から20年、怨念は消えない
『禁じられた遊び』から20年後——。
amazonより引用
あの惨劇の1年後に倉沢比呂子と柏原亮次は結婚したが、比呂子はすでに亡くなり、ふたりの間に生まれた娘、日菜多は18歳の高校生になっていた。
「カケラ女」の都市伝説に興味を持って調査していた亮次が、くも膜下出血を起こして急死する。それ以降、さまざまな怪奇現象が日菜多を襲う。
一方、6歳の少女・乃愛は両親がいないために養父母に育てられていたが、日々虐待されていた。
ある夜、乃愛はどこからか聞こえる悲しげな声に導かれて干からびた指を見つける。
「私はあなたのママよ。ママを生き返らせて」という言葉を信じ、乃愛は指を庭に埋めて呪文を唱え始めた。
乃愛が蘇らせようとしているものは? そして怨念が向かうのは……?
まとめ
この『禁じられた遊び』は、豪華キャストでの映画化も間近に控えて話題の作品となっています。僕もaudibleで配信されてすぐ聴きましたが、『ファイルーズあい』さんのナレーションが本当に素晴らしく、楽しく恐怖を満喫できました。
ぜひaudibleで楽しい恐怖体験を実感してみて下さい。

コメント