『サピエンス全史』は嘘まみれ?世界的ベストセラーに潜む「間違い」と3つの重大な論争点を徹底解説

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「すごい本がある」と聞いて『サピエンス全史』を手に取った時の、あの衝撃を覚えていますか?

人類700万年の歴史が、まるで一本の壮大な映画のように繋がり、自分という存在が、とてつもなく大きな物語の一部なのだと感じさせてくれる。ビル・ゲイツやオバマ元大統領も絶賛し、世界中で2500万部以上も売れているというのも納得の面白さですよね。

しかし、その輝かしい称賛の裏で、本書には「嘘だらけだ」「重大な間違いがある」という、穏やかでない批判の声が絶えないのも事実です。

「え、そうなの?あの本が?」と不安に思った方もいるかもしれません。

ご安心ください。この記事では、単なる悪口や感想ではなく、なぜ世界的碩学であるユヴァル・ノア・ハラリ氏がそのように批判されるのか、その核心に迫ります。

読み終える頃には、あなたは『サピエンス全史』にまつわる「嘘」や「間違い」という言葉の本当の意味を理解し、この歴史的名著を、何倍も深く、何倍も面白く読めるようになっているはずです。

『サピエンス全史』への批判、特に「嘘だ」という強い言葉を理解する上で、絶対に避けて通れないポイントがあります。それは、ハラリ氏が使う「虚構」という言葉の本当の意味です。

多くの人が、この「虚構」を「嘘」と勘違いしてしまい、大きな誤解を生んでいます。まず、この違いをはっきりさせましょう。

嘘と虚構の比較表
概念嘘(うそ)虚構(きょこう)
定義
話している本人も「事実ではない」と分かっている、意図的な偽りのことです。
「みんながそれを信じているから、現実の力を持つようになった、想像上のルールや物語」のことです。
具体例
「お母さん、宿題やったよ(本当はやってない)」
「日本円」「法律」「株式会社」「人権」

考えてみてください。「1万円札」は、ただの紙切れです。しかし、誰もが「これには1万円の価値がある」と信じているから、実際に商品と交換できます。

これがハラリ氏の言う「虚構」です。私たちはこれを「嘘」だとは思っていませんよね。

ハラリ氏は、私たちホモ・サピエンスが他の動物を圧倒できた最大の理由は、この「虚構」を共有し、見ず知らずの他人と何百万人もの規模で協力できたからだと論じます。

この「虚構=みんなが信じる物語」を、「嘘=誰かを騙す偽り」と勘違いしてしまうと、「ハラリは国家も宗教も法律も、全部嘘っぱちだと言っている!」という過激な解釈になってしまうのです。

この大前提を理解することが、本書を巡る論争を冷静に読み解くための、最初の、そして最も重要な鍵となります。

さて、「嘘」という最大の誤解を解いたところで、いよいよ本題の「間違い」、つまり専門家たちが指摘する具体的な「論争点」を見ていきましょう。

論争点①:農業革命は「史上最大の詐欺」か? – 進歩史観へのカウンターパンチ

『サピエンス全史』の中でも、特に挑発的で有名なのが「農業革命は、歴史上最大の詐欺だった」という一節です。

私たちは学校で「農業の開始によって、人類は安定した食料を手に入れ、文明を発展させることができた」と、ポジティブに習ってきました。しかし、ハラリ氏はこれに真っ向から異を唱えます。

「確かに、人類全体として見れば食料は増えた。でも、一人ひとりの生活で見たらどうだ?

狩りや木の実採りをしていた頃より、農業は遥かに過酷な労働を強いる。栄養は偏り、伝染病が広まり、一部の支配層が富を独占する格差社会が生まれた。

これって、人類がまんまとハマった壮大なワナ(詐欺)じゃないか?」

この視点は、私たちの常識をひっくり返す、非常に刺激的なものです。

しかし、専門家からは「あまりに一方的な見方だ」「農業のプラス面を無視しすぎている」という批判があります。農業がなければ、科学も芸術も生まれなかったかもしれないからです。

つまり、これは事実の「間違い」というより、歴史をどの視点から見るかという「解釈」を巡る論争なのです。

ハラリ氏はあえて「詐欺」という強い言葉を使うことで、私たちが当たり前だと思っていた「進歩」に疑問を投げかけているのです。

論争点②:認知革命は「都合の良い物語」か? 科学的厳密性 vs 物語の分かりやすさ

ハラリ氏によれば、約7万年前に「認知革命」が起こり、私たちの祖先の脳の配線が偶然変わったことで、新たな思考、特に「虚構」を信じる力が生まれた、とされています。

これが、サピエンス大躍進のスタート地点です。

この「ある日突然、人類は賢くなった!」という物語は、非常にドラマチックで分かりやすいですよね。

しかし、生物学者などからは「そんなに単純な話ではない」とツッコミが入っています。

「物語を語るなんていう複雑な能力が、たった一回の突然変異で生まれるとは考えにくい。もっと長い時間をかけて、じわじわと進化したはずだ」というわけです。

これは「ビッグヒストリー」というジャンルが抱える、ある種の宿命とも言えます。何万年もの複雑な歴史を、たった一冊の面白い本にまとめるには、どこかで物語を単純化する必要があるのです。

分厚い専門書を何十冊も読むのは大変ですよね? ハラリ氏は、それを誰もが楽しめる一本のストーリーに仕立て上げてくれました。その分かりやすさと引き換えに、専門家から見れば「少し大雑把すぎる」という「間違い」の指摘が生まれてしまうのです。

論争点③:人類の歴史は「一本道」ではなかった? 『万物の黎明』からの最終通告

最後の論争点は、これまでの2つとは少しレベルが違います。これは『サピエンス全史』の細かな部分への批判ではなく、物語の根幹そのものを揺るがす、最も重要な批判かもしれません。

あなたは『サピエンス全史』を読んで、人類の歴史をこんな風にイメージしませんでしたか?

「小さな狩猟採集のグループ → 農業を始めて定住 → 村になり、都市が生まれ → 王様や国家が誕生する」

まるで、決まったコースを走る電車のような、一本道の歴史です。

しかし、近年、この見方に真っ向から挑戦する本が登場し、大きな話題を呼んでいます。

それが、デヴィッド・グレーバーとデヴィッド・ウェングロウによる『万物の黎明』です。

彼らは考古学の最新の発見をもとに、「私たちの祖先は、もっとずっと自由で、多様で、政治的だった」と主張します。

  • ある地域では、季節によって王様がいる階層社会と、みんなが平等の社会を行き来していた。
  • またある地域では、農業を知りながら、あえてそれを選ばず、自由な狩猟採集の暮らしを続けた。
  • 巨大な都市を築きながら、支配者を持たない社会を何百年も維持した人々もいた。

つまり、人類の歴史は一本道などではなく、様々な社会の形を実験する、創造性に満ちたものだった、というのです。

この視点に立つと、『サピエンス全史』が描く歴史は、あまりに単純で、ヨーロッパ的な見方に偏っている「間違い」を含んでいる、ということになります。

ここまで、『サピエンス全史』にまつわる「嘘」と「間違い」の正体を見てきました。

まとめてみましょう。

ハラリ氏への批判の分類表
批判の種類内容・原因
「嘘」という批判
主に、ハラリ氏の言う「虚構」を「意図的な偽り」と誤解したことから生まれる。
「間違い」という批判
1. 「農業革命は詐欺」のような、挑発的な歴史解釈を巡る論争。
2. 認知革命の描き方のような、物語の分かりやすさと科学的な厳密性の間の対立
3. 『万物の黎明』が指摘するような、歴史の全体像そのものへの根本的な異議申し立て

これらの批判を知ると、『サピエンス全史』の価値が下がったように感じるでしょうか? 私は、むしろ逆だと思います。

本書の最大の功績は、私たちに完成された「答え」をくれたことではありません。

これほどまでに世界的な「議論」を巻き起こし、私たちに「歴史とは何か?」「人間とは何か?」という根源的な問いを考えさせてくれたことにあります。

ある評論家は言いました。「ハラリはボールを投げたのだ」と。

『サピエンス全史』は、絶対的な真実が書かれた教科書ではありません。壮大で刺激的な議論の幕開けを告げる、最高の知的エンターテインメントなのです。

ぜひ、本書をきっかけに、今回ご紹介した『万物の黎明』のような本も手に取ってみてください。肯定と批判、両方の視点を持つことで、あなたの知的な冒険は、もっとエキサイティングなものになるはずです。


P.S. とはいえ、分厚い本を読む時間なんて、なかなか取れない…

この記事を読んで「『サピエンス全史』や『万物の黎明』、面白そう!でも、こんなに分厚い本を読む時間なんて…」と感じた方も多いのではないでしょうか。

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