雫井脩介『望み』｜もしあなたの家族が…究極の選択を問う傑作レビュー 

こんにちは、本好きな皆さん！今日は、雫井脩介さんの『望み』について、ちょっとお話ししたいと思います。 

この本、一言で言うと「心がぐっとキュッとなる」そんな作品なんです。家族が巻き込まれる衝撃的な出来事を通して、私たち人間が突き付けられる究極の選択。重いテーマに聞こえるかもしれませんが、雫井脩介さんの繊細な心理描写のおかげで、ページをめくるのが止まらなくなります。 

想像したくもない状況。でも、「もし自分の子どもが…」と考えたとき、どんな親が胸を痛めないでいられるでしょうか？家族の絆、親の愛情、そして周りの目線など、私たちの心の奥底に響く問いかけが、この本には詰まっているんです。 

軽く読めば単なるミステリー、深く読めば人間の葛藤を描いた傑作。そんな『望み』、ぜひ手に取ってみてください。きっと、あなたの心に深い余韻を残してくれるはずです。 

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あらすじ 　家族の危機と葛藤

『望み』は、平穏な日常を送っていた石川家の生活が一変する瞬間から始まります。 

主人公の石川一登と妻の貴代美は、思春期の息子・規士と娘・雅を育てながら、何不自由ない生活を送っていました。 

ある9月の週末、息子の規士が突然帰宅せず、連絡が途絶えてしまいます。

警察に相談した矢先、規士の友人である高校生の遺体が発見され、事態は急展開。規士が事件に関与している可能性が浮上し、家族は激しい混乱に陥ります。物語は主に両親の視点から進行し、彼らの心理的葛藤が鮮明に描かれます。 

父・一登は息子の無実を信じたいという思いに駆られる一方、母・貴代美は真実を突き止めようと奔走。 この価値観の相違が、長年安定していた夫婦関係に亀裂を生じさせていきます。同時に、マスコミや世間の厳しい目にさらされる家族の姿も克明に描かれます。 

憶測だけが独り歩きし、知人までもが家族に牙を向ける中、石川家は孤立無援の状況に追い込まれていきます。

雫井脩介は、この極限状況下での家族の姿を通じて、「加害者として生きているのと、被害者として死んでいるのと、どちらが良いのか」という究極の問い。 この問いかけが、物語全体を貫くテーマとなり、読者の心に深い余韻を残します。

『望み』は単なるサスペンス小説ではなく、家族の絆、正義の在り方、人間の二面性など、普遍的なテーマを深く掘り下げた作品となっています。 

心理描写の巧みさと緊張感 

この本、普通のミステリー小説とは全然違うんです。登場人物の心の奥底までズバッと切り込んでいく、そんな作品。まるで、キャラクターたちの心の中にレントゲンを当てているみたいな、鋭い描写に圧倒されます。 

主人公の石川一登さん。息子の無実を信じたい、でも真実を知ることが怖い。そんな、誰もが共感できる葛藤が生々しく描かれているんです。「自分だったら…」と、思わず想像してしまうような、そんな心理描写。 

奥さんの貴代美さんも超リアル！真実を追求したい気持ちと、家族の絆が壊れるかもしれない不安。夫婦の対照的な感情が、物語にものすごい深みを与えています。 

読んでいると、まるで映画を見ているかのよう。情景が目に浮かび、ドキドキが止まらない。特に、家族が激しい感情をぶつけ合うシーンは、心臓バクバクするほどのスリルがあります！ 

雫井脩介さんが狙っているのは、単に事件の謎を解くことじゃない。私たち読者の心を揺さぶり、自分の価値観や家族について考えさせること。そう、この本を読み終わったあとは、きっと自分自身を見つめ直すはずです。 

家族の絆と価値観の衝突 

お父さんの一登さんは、「息子は絶対に悪くない！」って必死に信じたい。でも、お母さんの貴代美さんお父さんの一登さんは、「息子は絶対に悪くない！」って必死に信じたい。でも、お母さんの貴代美さんは「本当のことを知りたい」と、一歩も引かない。二人の価値観が真っ二つに割れて、夫婦の絆までもが危うくなっていく。まるで、家族という堤防に亀裂が入っているみたい。 

雫井脩介さん自身も言っているんです。「まったく違う価値観がぶつかったとき、そこから生まれる葛藤ってめっちゃおもしろいんだ」って。そう、この本の醍醐味は、まさにそこなんです！ 

ただ家族の話で終わらないのが、この作品のすごいところ。マスコミや世間の目、社会の圧力。家族は外部からの厳しい視線にさらされながら、自分たちの信念を貫こうとするんです。 

最後に残るのは、「家族って何？」「正義って何？」という深〜い問いかけ。読み終わったあと、きっとあなたも自分の家族のこと、価値観のことを考えるはずです。 

タイトル『望み』の意味 

このタイトル、実はすごい仕掛けがあるんです！「望み」って一言で言っても、家族それぞれの「望み」が真っ向から対立しているんです。 

お母さんは、息子が生きていることを「望む」。でも、それは同時に、息子が事件の加害者かもしれないことを認めることになる。お父さんは、息子の無実を信じて「望む」。でも、ひょっとしたら、それは息子が最悪の状況にいることを意味するかもしれない。 

ちょっと考えただけでも、胸が締め付けられるような、そんな選択。親としての愛と、社会的な責任。この間で、家族が引き裂かれていく様子が、このタイトルにめちゃくちゃ凝縮されているんです。 

雫井脩介さんは、「望み」という言葉を通して、私たちに突きつけているんです。「本当の希望って何？」「愛するとはどういうこと？」って。 

問いかけられる究極の選択 

私たちの日常、価値観、そして人生そのものを揺さぶるような、そんな衝撃。まるで、人生の非常用ボタンを押されているみたいな感覚。 

想像してみてください。もし、あなたの大切な子どもが事件に巻き込まれたら？どうしますか？ 

例えば… 

• 子どもが悪いことをしたと分かったとき、味方になる？それとも社会の正義を選ぶ？ 

• 家族の名誉を守ること？それとも真実を追求すること？ 

• 親としての愛？それとも社会人としての責任？ 

簡単に答えられる問いじゃないですよね。それが、この本の魅力なんです！ 

雫井脩介さんは、私たちに「正解」を教えようとしているんじゃない。むしろ、「あなたならどう考える？」と問いかけているんです。自分の価値観、家族への愛、社会との向き合い方。すべてを根本から揺さぶられる、そんな体験ができる本なんです。 

読後の感想　辛い、けど・・・

この物語、正直に言って、かなり辛いです。心理描写がかなりリアルだし、展開がどうなるのかドキドキが続きます。でも、なぜか続きが気になってやめられない。

お父さんの一登さん、お母さんの貴代美さん。どちらの気持ちも理解できます。でも、考えたくはないけれども、もしこのような状況になったら一登さんのような考えになってしまうのではないかと。

ただ生きていてくれさえいれば。

そう考えたい。でも、やはり色々なことが頭を巡るのだろうな。

この本の中で、行方不明になった息子の規士の想い、考えは分かりません。規士がどんな気持ちでいたのか、なぜこのような状況になってしまったのか。考えると悲しくて胸がつまります。

ただ思ったことは、子供のことをもっとしっかり見ようということ。

人によって考え方は違うし、想いも違う。正解も間違いもない。

でも、愛する人をしっかり見てあげることはできるし、思いを伝えることもできる。いざというときに後悔の無いように。

この本は、辛いです。でも、自分が大切にしたい家族というものをほんとうに愛せているのか、しっかりと見ているのかということを考えさせてくれました。

衝撃の家族ドラマ　まとめ 

この本、ただのミステリー小説じゃない。人間の深い本質に切り込んでくる、衝撃の作品なんです！ 

想像してみてください。「加害者として生きるか、被害者として死ぬか」なんて、誰もが考えたくない究極の選択。でも、この本はその問いを真正面から突きつけてきます。 

お父さんの一登さんは、息子の無実を信じたい。お母さんの貴代美さんは真実を追求したい。二人の価値観がぶつかり合って、家族の絆が揺らいでいく。読んでいて、「自分だったらどうする？」って、思わず考えてしまう。 

マスコミや世間の厳しい目、SNSの書き込み。現代社会の闇までえぐり出されています。単に事件の謎を追うだけじゃない、人間と社会の本質を問いかける作品なんです。 

雫井脩介さん自身が言っています。「読者が揺れ動いてくれれば成功」と。そう、この本を読んだ後は、きっと自分自身と向き合うはずです。 

ミステリー好き、家族の物語に興味がある人、人間の本質を深く考えたい人。全員におすすめの一冊です！ぜひ手に取ってみてください！