まだまだ猛暑日が続いてますが、暦の上ではもう秋ですよね。ほんとに?って感じですが。夏の甲子園から約1ケ月。応援していた大社高校の大躍進の興奮も大分収まった今さらですが、本の表紙絵に目を奪われて、誘われるがままに読み始めたこの本「アルプス席の母」。
自分も高校生の男児を育てる身であり、親目線の気持ちがよくわかることもあり、期待以上の面白さで、かなりのヒット作でした。
高校野球にかぎらず、子供が一生懸命何かに取り組んでいたら、親も我がことかのようになにふりかまわず一緒に戦うモードに入っちゃいますよね。
また、思春期の男子の気持ちも分かるので、親の目線、子の目線、両方の心情に共感しながらドキドキ、ウルウル。感情揺さぶられまくりです。
来年からの高校野球、グラウンドだけでなく、アルプス席の応援団にも注目しちゃうこと間違いなしですね。
あらすじ・内容を簡単に紹介
『アルプス席の母』は、野球を舞台にした青春小説の枠を超えた、親子の絆と成長を描く感動の物語です。
従来の高校野球小説では選手やチームの視点から描かれることが多いですが、この作品では「母親」というこれまでにない視点から、高校野球の世界に迫っています。
著者の早見和真さんご自身が神奈川県の強豪高『桐蔭学園』出身で、野球部在籍中に甲子園に出場するも、ご自身は惜しくもメンバー入りを果たせず、アルプス席からの応援を経験されています。
また、自身の母親や、強豪校の野球部の父母会い入っていた方のインタビューをもとに描かれていることが、リアリティ溢れる物語に繋がっています。
息子を支え、見守る母親の奮闘と葛藤を描くこの小説は、単なるスポーツの話ではありません。家族の物語として、子を持つ親、特に母親の方には共感しまくりの物語です。
物語の主人公である秋山菜々子は、神奈川で看護師として働きながら一人息子の航太郎を育てるシングルマザーです。航太郎は野球の才能を認められ、湘南のシニアリーグで活躍する中、関東一円からスカウトが集まるようになります。しかし、航太郎には子供の頃からの夢である甲子園常連校で野球をする夢があります。どうにかしてその高校に入る方法を模索する菜々子と航太郎ですが、残念ながらその高校からは声がかからず、彼が選んだ進学先は、関西の大阪にある新興校。まだ名が知られていないその学校で、強豪校を倒し、甲子園を目指すという新な夢に挑戦することを決意した航太郎。それを支えるため、菜々子もまた、大阪へ移り住む決断をします。
不慣れな土地、大阪での新生活は決して順風満帆ではありません。厳しい父母会の掟や地域の慣習に戸惑いながらも、息子の夢を支えるために菜々子は奮闘します。しかし、航太郎もまた、厳しい練習や試合に挑む中で次第に心身ともに追い詰められていきます。激痩せしていく息子を見つめる母としての菜々子の葛藤、どうしても手助けできない無力感に、彼女の心は揺れ動きます。それでも、息子の成長を信じ、夢を共に追いかけ続ける菜々子の姿には、子を持つ親ならば、菜々子の苦悩や喜びに共感せずにはいられないでしょう。
もちろん、野球のシーンも面白く、特に最後の夏の大会はハラハラドキドキ、感動しっぱなしです。予想外の展開にビックリすると思いますよ。
まとめ
『アルプス席の母』は、野球を愛する人々に新しい視点を与える感動的な物語です。従来の選手目線ではなく、舞台に立つ選手を支える母親の視点で描かれるこの作品は、青春だけでなく、親子の絆、そして成長を見守る無償の愛を感じさせます。看護師として働きながら一人息子・航太郎を支える菜々子が、息子の夢を追いかけて大阪へ移り住み、厳しい環境の中で葛藤しながらも奮闘する姿は、胸を打つこと間違いありません。
僕はAudibleでこの作品を聴きましたが、女性の声でのナレーションのおかげで、母親の心情が文字で読むよりも心に響いてきた感じがします。関西弁も全然違和感なく聴けたし、作品はもとよりナレーションもすばらしく、Audibleでの聴く読書の醍醐味を堪能できる作品でした。
Audibleで聴く親子での涙と感動のドラマを、ぜひお楽しみください。
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