
「え、ボーナスがなくなるの?」最近気になるお金のニュース
「ソニーやバンダイがボーナスを月給に!?」
「大和ハウスも賞与を給与化へ…」
最近、こんなニュースを目にして「え、どういうこと?」「私の会社も?」と気になった方も多いのではないでしょうか。大手企業を中心に進んでいる「賞与の給与化」。
これは、年に数回ドカンと支給されていたボーナス(賞与)を、毎月の給料に上乗せして支払う仕組みへの変更のことです。
「月給が増えるならラッキー?」
「でも、まとまったボーナスがなくなるのは困るかも…」
「結局、手取りは増えるの?減るの?」
「税金や社会保険料ってどうなっちゃうの?」
たくさんの「?」が浮かんできますよね。この大きな変化は、私たちの毎月の手取り額はもちろん、将来の社会保険、さらには日々の暮らしやお金の計画にまで影響を与える可能性があります。
この記事では、今話題の「賞与の給与化」について、その仕組みの基本から、企業側の狙い、私たち従業員にとってのメリット・デメリット、そして生活への具体的な影響まで、気になるポイントを誰にでも分かるように、徹底的にかみ砕いて解説します!
そもそも「賞与の給与化」って何?キホンを優しく解説
「賞与の給与化」と聞いても、ピンとこない方も多いかもしれません。まずは、この制度が一体どんなものなのか、基本から見ていきましょう。
何がどう変わるの?
「賞与の給与化」とは、とってもシンプルに言うと、これまで夏や冬などにまとめてドン!と支払われていたボーナス(賞与)の全部または一部を、毎月のお給料に少しずつ上乗せして支払う方式のことです。
イメージしてみましょう
給与パターン | 月給 | 夏ボーナス | 冬ボーナス | 年収合計 |
---|---|---|---|---|
現在の給与体系 | 30万円 | 60万円 | 60万円 | 480万円 |
賞与の給与化(部分) | 35万円 (+5万円) | 30万円 | 30万円 | 480万円 |
賞与の給与化(完全) | 40万円 (+10万円) | 0万円 | 0万円 | 480万円 |
計算例
部分的な賞与の給与化:ボーナス120万円のうち60万円を12ヶ月で割ると月額5万円の上乗せとなります。
- 今まで: 月給30万円 + 夏ボーナス60万円 + 冬ボーナス60万円 = 年収480万円
- 賞与の給与化後(例): (ボーナス120万円の一部、例えば60万円を12ヶ月で割ると月5万円上乗せ) 月給35万円 + 夏ボーナス30万円 + 冬ボーナス30万円 = 年収480万円 または、完全に賞与をなくして… 月給40万円 = 年収480万円
こんな風に、年間の総支給額は変えずに(※企業によります)、月々の固定給をアップさせ、結果的に「月収が高く見える」ようにする仕組みです。
一番大きな変化は、年に数回の大きな楽しみだったボーナスが、毎月の安定収入に変わるという点ですね。
なんで今「賞与の給与化」が注目されてるの?(背景にあるアレコレ)
この動きが活発になっている背景には、今の日本が抱える課題や、企業の考え方、そして政府の方針など、いくつかの理由が複雑に絡み合っています。
「人が足りない!」人材獲得競争の激化と人手不足問題
少子高齢化で働く人が減り、多くの会社で「人が足りない…」という悲鳴が上がっています。特に若い世代や専門スキルを持つ人の取り合いは激しく、企業は「うちの会社はこんなに魅力的ですよ!」とアピールしなければなりません。
その一つが「給料」。月々の給料を高く見せることは、求人応募者、特に初任給を気にする新卒者への強力なアピールになるんです。
「頑張った人が報われるように!」成果主義・ジョブ型雇用へのシフト
昔ながらの「年功序列(長く勤めれば給料が上がる)」から、「個人の成果や仕事の内容・責任(ジョブ)で給料を決める」という考え方(成果主義・ジョブ型雇用)に変わってきている企業が増えています。
このジョブ型では、仕事の価値を反映した安定的な月給の割合を高める方が分かりやすく、賞与の給与化はその流れに乗りやすいんですね。
外資系企業や、それに倣う日本の大手企業でよく見られます。
「働きやすく、公平に!」働き方改革と同一労働同一賃金
国が進める「働き方改革」では、正社員とかパートとか関係なく、同じ仕事をしているなら同じ待遇にしましょうね(同一労働同一賃金)というルールがあります。
この「待遇」にはボーナスも含まれるため、ボーナスの設計を複雑にするより、月給でしっかり評価しようという動きも背景の一つかもしれません。
「時代に合わせて変化!」近年の賃金・報酬トレンド
最近の物価上昇に対応するための「賃上げ」ムード、毎月の収入を安定させたいという従業員の気持ち(特に若い世代は月給重視の傾向も)、そして「日本のボーナスって独特だよね」というグローバルな視点からの見直しなども、この動きを後押ししています。
企業は、こうした社会の変化に対応するために、「採用で有利になりたい」「社員に安心して生活してほしい」「成果を給料に反映しやすくしたい」といった目的で、賞与の給与化を検討しているのです。
今までの「賞与(ボーナス)」ってどんな位置づけだったの?
ここで一度、法律的な視点も交えて「賞与」とは何かをおさらいしておきましょう。
実は、労働基準法では「会社は必ずボーナスを払わなければならない」とは決められていません。ボーナスを出すかどうか、いくら出すか、どうやって計算するかは、基本的には会社の自由なんです。
ただし、会社のルールブックである「就業規則」や、社員と会社との約束事である「労働契約」で、「ボーナスをこういう条件で支払いますよ」とハッキリ決められている場合は、それはもう「約束されたお給料(賃金)」としての性格を持ちます。
一般的に、毎月もらう給与(基本給や固定手当)は、働いたことへの対価として、毎月決まった日に、前もって決められた金額が支払われます。
これに対して、賞与(ボーナス)は、会社の業績や個人の成績などによって金額が決まり、臨時的に支払われる「特別なご褒美」という性格が強く、金額も変動しやすいものでした。頑張りを評価するインセンティブとしての役割も大きかったんですね。
「賞与の給与化」は、この「臨時的で変動しやすい特別なご褒美」だった賞与の一部または全部を、「毎月定期的にもらえる固定的なお給料」へと性質を変える大きな転換と言えます。
これは、年俸制で年俸額に「賞与相当分」が含まれている場合、それが法律上の臨時的な賞与ではなく、定期的な給与として扱われるのと実質的に同じような考え方です。
お金の流れが変わる!手取り・税金・社会保険への影響は?
「賞与の給与化」は、単に給料明細の見た目が変わるだけではありません。私たちのお金の流れ、特に気になる「手取り額」や「社会保険料」、「税金」にどんな影響があるのか、詳しく見ていきましょう。
「手取りが減るかもしれない」ってホント?その理由は?
多くの方が一番気になるのは、「結局、毎月の手取りは増えるの?それとも…?」という点ですよね。
賞与の一部が毎月の給与に上乗せされるので、月々の給与額面は増えます。それに伴い、毎月の手取り額も基本的には増加します。
これは、日々の生活費のやりくりがしやすくなるという点で、嬉しいポイントです。
しかし、注意したいのは「年間の総支給額が変わらない場合でも、年収ベースで見たときの手取り額が、思ったより増えない、あるいは場合によっては少し減ってしまう可能性もある」という点です。
「え、どうして??」と思いますよね。その主な原因は、社会保険料の負担の仕組みにあります。
なぜ?どうして?社会保険料が増えるカラクリ
日本の社会保険制度(健康保険、厚生年金保険、雇用保険など)では、毎月の給与だけでなく、年に3回以下の賞与からも保険料が天引きされています。
「賞与の給与化」によって、今まで賞与として支払われていた部分が毎月の給与に上乗せされると、何が起こるでしょうか?
毎月の給与額(標準報酬月額の算定基礎)が増加します。
社会保険料は、「標準報酬月額」という、給与を一定の幅で区切った等級に基づいて計算されます。
月給が上がれば、この等級が上がり、結果として毎月天引きされる社会保険料(従業員負担分と会社負担分)が増加する可能性があります。
「年4回以上」の賞与は「給与」扱いになるルール!
ここが重要なポイントです。
社会保険のルールでは、年に4回以上支給される賞与は、もはや「賞与」ではなく「報酬(つまり給与の一部)」とみなされ、毎月の標準報酬月額の計算に含められることになっています。
「賞与の給与化」(特に、賞与の原資を毎月の給与に分割して上乗せする方式)は、実質的にこの「年4回以上の支給」と同じような扱いになり、給与化された部分は標準報酬月額に加算されるのです。
これにより、毎月の社会保険料は増加しますが、その代わりに、これまで賞与が支給されるたびに徴収されていた社会保険料はなくなります。
では、年間の社会保険料の総額はどうなるのでしょうか?これは、個人の給与額、従来の賞与額、標準報酬月額の等級区分などによってケースバイケースですが、一般的には、月給が大幅に増加することによって、年間の社会保険料負担が結果的に少し増える可能性が指摘されています。
企業にとっても、従業員負担分だけでなく、会社が負担する社会保険料も増える可能性があるため、注意が必要な点です。
(注) ここでは仕組みの概要を説明しています。ご自身のケースで具体的にどうなるかは、会社の給与担当の方や、社会保険労務士などの専門家にご確認いただくのが最も確実です。
賞与が「給与」として課税されると…税金はどうなるの?
税金(所得税・住民税)への影響も気になりますよね。
基本的に、賞与も給与も同じ「所得」として課税対象です。
そのため、「賞与の給与化」によって年間の総所得額(年収)が大きく変わらない限り、年間に支払う所得税や住民税の総額も、それほど大きくは変わらないと考えられます。
ただし、いくつか変化する点があります。
- 毎月の源泉所得税額:毎月の給与額が増加するため、そこから天引きされる源泉所得税の額は、月々で見ると増える可能性があります。
- 社会保険料控除の影響:もし社会保険料の年間負担額が増加した場合、その分は「社会保険料控除」として所得から差し引かれるため、課税対象となる所得が減り、結果として年間の税負担が少し軽くなる、という可能性も理論上は考えられます。
(注) 税金の計算は、個人の所得状況や受けられる控除(扶養控除、生命保険料控除など)によって大きく異なります。ここで説明したのは一般的な仕組みであり、具体的な影響については、税理士や税務署にご相談いただくことをお勧めします。
メリット・デメリットを徹底比較!(企業 vs 働く私たち)
「賞与の給与化」は、良いことばかりでも、悪いことばかりでもありません。企業側と私たち働く側、それぞれの立場から見たメリットとデメリットを整理してみましょう。
【表1:賞与の給与化 メリット・デメリット比較】
賞与の給与化によるメリット・デメリット比較 | ||
---|---|---|
対象 | メリット | デメリット |
従業員 |
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企業 |
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制度変更の際は、従業員への十分な説明と合意形成が重要です。また、社会保険料や退職金への影響など、長期的な視点での検討も必要になります。
企業にとって:「安定した人件費管理」vs「柔軟性の低下」というジレンマ
企業側から見る賞与の給与化の大きな魅力
👍採用力アップは大きい!
月々の給料を高く見せられるので、採用市場で「おっ、この会社、給料いいな」と注目されやすくなります。
特に、初任給を重視する若い世代の人材を獲得する上では大きな武器になります。年間の総人件費を大きく変えずにこれを実現できるのは、企業にとって嬉しいポイントです。
👍社員の安心感、定着にも期待。
毎月の収入が安定すれば、社員も生活設計がしやすくなり、安心して働けます。
これが、社員の会社への満足度を高め、離職を防ぐ効果も期待できます。
👍ジョブ型との相性も◎。
仕事の役割や成果に応じて給料を決める「ジョブ型」人事制度を進めたい企業にとっては、変動しやすい賞与よりも、安定した月給の比重を高める方が、制度としてスッキリします。
企業にとっては頭の痛い問題も…。
👎人件費がカチッと固まる不安。
賞与は、会社の業績が良い時はたくさん出し、悪い時は少し抑える、という「調整弁」のような役割がありました。
しかし、給与化してしまうと、その部分が固定費になってしまいます。
つまり、もし会社の業績が悪くなっても、簡単には給料を下げられなくなり、人件費のコントロールが難しくなるのです。
👎見えないコスト増も?
月給が増えるということは、社会保険料の会社負担分が増えるだけでなく、残業代を計算する際の基礎単価が上がったり(結果、残業代が増える)、退職金の算定基礎額が上がったり(将来の退職金支払いが増える)といった、「隠れたコスト」が増加する可能性があります。
これらをしっかり計算しておかないと、思った以上に総人件費が増えてしまうリスクも。
働く私たちにとって:「毎月の安定」vs「ボーナスの楽しみ減」どっちを取る?
私たち働く側にとっては、どんな影響があるのでしょうか?
毎月の安心感は大きなメリット!
何と言っても、毎月の収入が安定するのは嬉しいですよね。住宅ローンや教育費など、毎月決まった支払いがある場合、計画が立てやすくなります。
特に、ボーナスが会社の業績に大きく左右されて不安定だった人にとっては、大きな安心材料になるでしょう。
また、標準報酬月額が上がることで、病気やケガで長期間仕事を休んだ時にもらえる「傷病手当金」などの社会保険給付が増える可能性もあります。
でも、あのワクワク感が…。
一方で、年に数回、まとまった金額がドンと入ってくるボーナスの楽しみがなくなる、または減ってしまうのは寂しいかもしれません。
「ボーナスで欲しかったアレを買おう!」「海外旅行に行こう!」といった、大きな支出を伴う計画が立てにくくなる可能性があります。
頑張りがボーナスに…は薄れる?
会社や個人の業績がすごく良かった時に「今回はボーナスが多かった!」という、目に見える形でのご褒美感が薄れることで、仕事へのモチベーションが少し下がってしまう人もいるかもしれません。
また、制度の作り方によっては、年間の総支給額で見ると、以前と変わらない、あるいは社会保険料の負担増などで実質的に手取りが少し減ってしまう、なんてこともあり得るので、月給の増加額だけでなく、年収全体でどう変わるのかをしっかり確認することが大切です。
賞与の給与化で、私たちの生活はどう変わる?
では、実際に「賞与の給与化」が私たちの生活にどんな変化をもたらすのか、もう少し具体的に考えてみましょう。
家計への影響は?(教育費、住宅ローンの返済計画など)
まず、毎月の家計管理にはプラスの影響がありそうです。
👍日々のやりくりは楽に?
月々の手取りが増えることで、食費や光熱費といった日々の生活費の管理はしやすくなるでしょう。
👍教育費などの計画的支出にも◎。
子どもの塾代や習い事の月謝など、毎月または定期的に発生する教育費についても、月々の収入が安定することで、計画的に準備しやすくなるかもしれません。
一方で、これまでボーナスを頼りにしていた計画には見直しが必要になるかもしれません。
❓住宅ローンの「ボーナス払い」はどうなる?
住宅ローンで「ボーナス月に多めに返済する」というボーナス払いを設定している方は注意が必要です。
賞与がなくなる、または減額されると、このボーナス払いが厳しくなる可能性があります。
金融機関に相談して、返済計画の見直しを検討する必要が出てくるかもしれません。
❓車検、固定資産税、大型家電の買い替えなどは?
車検費用や固定資産税の支払い、冷蔵庫や洗濯機といった大型家電の買い替えなど、年に数回やってくるまとまった支出。
これらにボーナスを充てていた場合、賞与が月給に組み込まれると、一度に大きな現金が手元に入らなくなるため、月々の給与から計画的に積み立てておくなど、これまでとは違う資金計画が必要になります。
これからの時代、「ボーナス頼みの支出設計」はキケンかも?
今回の「賞与の給与化」の動きを見ていると、これまでの「まあ、ボーナスで何とかなるか!」という“ボーナス頼み”の支出計画は、少しリスクが高まっていると言えるかもしれません。
賞与の支給がなくなる、あるいは大幅に減額されると、それを前提としていた資金計画は一気に狂ってしまいます。
これからは、
- 月々の収入をベースにした、より安定的で堅実な家計管理
- まとまった資金が必要な大きな支出(住宅の頭金、車の購入、高額な旅行など)に対しては、一時金に依存せず、月々の給与からの計画的な積立貯蓄
といった、お金との付き合い方がますます重要になってくるでしょう。
世間の反応は?今後の見通しと、私たちがすべき準備
この「賞与の給与化」の動き、世間ではどんな風に受け止められているのでしょうか?そして、今後どうなっていくのか、私たちはどう備えればいいのかを見ていきましょう。
みんなの声:「安定は嬉しいけど…」「結局ソンするの?」
「賞与の給与化」のニュース、特にソニーグループやバンダイといった有名企業が、初任給の大幅引き上げとセットで実施した事例は、「世間がざわついた」と報じられ、大きな話題となりました。
バンダイの事例では、実際にキャリア採用の応募者数がほぼ倍増したとも言われており、採用市場でのインパクトを狙った企業戦略として注目されています。
また、同じ業界の他の会社にも「うちも待遇を良くしないと!」という競争を促す効果も指摘されています。
SNSやニュースのコメントなどを見ると、
- 「毎月の給料が増えるのは生活が安定して嬉しい!」
- 「ボーナスが業績に左右されなくなるなら安心」
といった、月々の収入安定化を歓迎する声がある一方で、
- 「年に数回の大きな楽しみだったボーナスがなくなるのは寂しい…」
- 「結局、年収は変わらないんでしょ?むしろ社会保険料が増えてソンするんじゃないの?」
- 「なんか上手く言いくるめられてる気がする…」
といった、まとまった賞与がなくなることへの戸惑いや、年収総額が変わらない(あるいは実質的に減る)ことへの懸念、企業側の「からくり」ではないかといった疑念の声も見受けられるようです。
これからどうなる?「賞与の給与化」はもっと広まる?
今後の見通しについては、専門家の間でも様々な意見があります。
深刻化する人材獲得競争や、ジョブ型雇用への移行といった社会的な背景があるため、大手企業や特定の業界(特にIT業界など人材獲得が難しい業界)を中心に、「賞与の給与化」の動きは今後も一部で進んでいくと考えられます。
しかし、
- 日本の会社文化における「ボーナス(定期賞与)」への根強い期待感
- 制度変更に伴う様々な課題(人件費が固定化する、目に見えないコストが増える、労務手続きが煩雑、社員のモチベーションをどう維持するかなど)
こうした点を考えると、全ての企業で、急速かつ全面的に「賞与の給与化」が普及するかというと、それは限定的だろうと予想されています。
政府が進める働き方改革や同一労働同一賃金の流れ、そして賃上げの機運といった中で、企業はそれぞれの状況に合わせて、社員が納得し、かつ会社も持続的に成長できるような報酬制度を模索しています。
「賞与の給与化」は、そのための一つの選択肢として、今後も検討され続けるでしょう。
私たちはどうすればいい?変化に備えるための3つのポイント
私たち働く側は、この「賞与の給与化」という変化の波に対して、どう備えていけば良いのでしょうか?大切なのは、以下の3つのポイントです。
まずは「知る」こと!会社の制度変更の内容を正確に理解しよう。
もしあなたの会社で「賞与の給与化」が検討されたり、導入されたりした場合は、まず会社が開く説明会などにきちんと参加し、「毎月の給料にいくら上乗せされるのか?」「ボーナスは完全にゼロになるのか、一部は残るのか?」「年間の総支給額の見込みはどうなるのか?」などを正確に確認しましょう。
分からないことや疑問点は、遠慮せずに人事担当者に質問することがとても重要です。
「見直す」こと!家計管理と将来の資金計画をアップデートしよう。
毎月の収入が増えることを前提に、固定費(家賃、ローンなど)や流動費(食費、娯楽費など)のバランスを見直しましょう。
そして、これまでボーナスで賄っていた大きな支出(車検、旅行、家電購入など)に備えるためには、月々の給与から計画的に貯蓄する習慣をつけることが、これまで以上に大切になります。
「捉え直す」こと!自分の報酬は「年収ベース」で考え、評価制度にも関心を持とう。
月給の額面だけに一喜一憂せず、年間の総支給額(年収)で自分の報酬水準を捉える視点を持ちましょう。
社会保険料や税金の影響も考慮して、実質的な手取り年収がどうなるのかを理解することが大切です。
また、「賞与の給与化」に伴い、個人の業績や貢献が月々の給与や昇給にどう反映されるのか、新しい評価制度やインセンティブ制度が導入されるのであれば、その内容をしっかり理解し、自分のキャリアプランや働き方を考える材料としましょう。
【まとめ】「ボーナスが当たり前」の時代は変わるかも?賢く変化に対応しよう!
「賞与の給与化」は、私たちが長年慣れ親しんできた「年に数回、まとまったボーナスがもらえる」という日本の伝統的な常識を、大きく揺るがす動きです。
法律で必ず支払う義務があったわけではなく、企業文化や働く人との慣習の中で「特別なご褒美」として位置づけられてきた賞与が、より固定的な「働いたことへの対価」としての給与に統合されつつあるのかもしれません。
この変化は、単に給料の計算方法が変わるという話に留まらず、
- 企業の人事戦略や財務戦略
- 私たち従業員の働きがいや生活設計
にまで影響を及ぼす、とても大きな変革と言えます。
私たち自身も、この変化の意味を正しく理解し、「ボーナス=臨時収入」というこれまでの認識を少しアップデートする必要があるかもしれません。そして、自分の報酬全体を年収ベースでしっかり捉え、より計画的な家計管理を心がけることが求められます。
また、企業がジョブ型雇用や成果主義への移行を進める中で、個人の成果や仕事の価値が、これからどう給料に反映されていくのかを意識し、自分自身の市場価値を高めていく努力も、ますます重要になってくるでしょう。
「賞与の給与化」は、企業が目まぐるしく変わる外部環境や、働く人のニーズに応えようとする一つの試みです。そして同時に、私たち働く側にも、自分のお給料や働き方、そしてお金との向き合い方について、改めて深く考える良い機会を与えてくれているのかもしれません。
今後のニュースやご自身の会社の動向をしっかりチェックしながら、この変化の時代を賢く乗り越えていきましょう。
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