「板上に咲く – MUNAKATA: Beyond Van Gogh」を読んで:棟方志功の“命を燃やす”生き様に触れて 

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今回ご紹介するのは、日本が世界に誇る版画家、棟方志功と彼を支え続けた妻・チヤの物語『板上に咲く – MUNAKATA: Beyond Van Gogh』。 

正直僕は棟方志功という人物を名前は聞いたことあるというくらいの認識でした。あまり芸術の分野には詳しくないもので。 

しかし、この本と出会って、棟方志功の作品や人柄を知ることで、どんどん彼の魅力にはまってしまいました。 

読み進めるうちに棟方志功という一人の芸術家が、なぜこれほどまでに人々の心を惹きつける存在なのかを理解できる感覚があります。 

圧倒的な芸術の才能と行動力を持ちながら、純粋無垢で周りの人に愛される人柄。 

この本を読んだ後、棟方作品を鑑賞したくなること間違いなしです。 

この作品、Audibleで聴くとより作品の魅力を堪能できますよ。30日間は無料で聴けますし、いつでも退会可能。気楽に今までにない読書体験ができます。

あらすじ 

1924年、青森の青年・棟方志功は画家を志し、東京へと旅立ちます。

「ゴッホになるッ!」という強い憧れを抱いての上京でしたが、彼を待っていたのは厳しい現実。弱視のためにモデルの線をとらえることも難しく、師匠にも恵まれず、材料を買う金もない。帝展に出品しても落選続きで、生活は窮迫を極めます。

しかしあるとき、木版画に出会った棟方は「自分にとっての革命はこれだ」と信じ、油絵から木版画に専念する決意をします。

彼はやがて国内外でその作品が認められ、“世界のムナカタ”として不動の地位を築くことになります。その裏には、40年以上もの間、夫を支え、墨を磨り続けた妻・チヤの存在がありました。

物語は、そんな彼女の視点で描かれた棟方の試練と栄光、そして二人の深い愛情を中心に進んでいきます。 

「ゴッホになるッ!」と叫んだ青森の青年 

物語の冒頭で、棟方が「ゴッホになるッ!」と声を上げるシーン。 

彼がどれだけゴッホの「ひまわり」に感銘を受けたか。この情熱溢れる言動に、にすぐに棟方志功ワールドに引き込まれました。 

それから彼は津軽から東京へと渡り、大好きなゴッホに近づきたいという純粋な憧れと情熱を持って、困難な状況に立ち向かいます。 

彼の目指す道は決して楽ではありませんでしたが、心に宿る一途な情熱が彼を支え続けました。 

弱視というハンデも、どん底の生活も、彼を諦めさせることはできません。 

この本を読みながら、まさに棟方の命が燃え上がるような生き様を目の当たりにした気持ちです。 

志功とチヤが描く“版上の愛” 

この物語の中で最も心に残ったのが、棟方を支え続けた妻・チヤの存在でした。 

彼女の目線で語られる棟方の人生は、ただの芸術家のサクセスストーリーにとどまらず、互いを支え合う深い愛情物語としても読み応えがありました。 

特に、チヤの毎晩棟方作品の為に墨を摺り続ける姿や、戦時中に1人で疎開先の富山から空襲の危険のある東京へ命を懸けて版木を取りに戻る姿。 

そのチヤを心配して「チヤ、早く帰ってきてくれ、無事に帰ってきてくれ!」と毎日何通も手紙を書き郵便ポストに投函し、頭を下げ祈り続ける棟方の姿。 

互いが互いを想い合う心が、文面から心に響くように伝わってきます。 

常に側にいて彼の支えとなるチヤは、まるで棟方のための「ひまわり」であり、彼女の強さと愛情が作品全体を温かく包み込んでいます。 

Audibleならでは。渡辺えりさんの津軽弁ナレーションの素晴らしさ 

この本をAudibleで聴いたのですが、渡辺えりさんによる津軽弁のナレーションが、この物語にさらなる命を吹き込んでくれました。 

彼女の語りによって、志功とチヤが本当にそこに存在しているかのように感じられ、彼らの言葉や感情が心に深く響いてきます。 

津軽弁のあたたかさや重みが加わることで、棟方志功という人物が、ただの偉人ではなく、親しみやすく共感できる人間として描かれます。 

ナレーションの力でさらに彼らの世界にどっぷりと浸ることができました。 

まとめ:棟方の作品をもっと知りたくなる一冊 

棟方の命が燃え続ける様子、そして彼を支えるチヤの愛の深さが強く描かれたこの本は、芸術の価値や、人生の選択に向き合う勇気を教えてくれます。 

読み終えた今、棟方志功の版画作品を実際に目にしたいという気持ちが湧き上がり、彼の作品を展示している美術館へ足を運びたくなりました。 

音と文字で紡がれる『板上に咲く』の世界、ぜひ体験してみてください。 

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