『ナチュラルボーンチキン 』感想 中年版「君たちはどう生きるか」

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この作品は著者「金原ひとみ」さん曰く、中年版「君たちはどう生きるか」 

タイトルの「ナチュラルボーンチキン」とは日本語で言うと「生まれながらの臆病者」 

50歳を間近に控えた中年真っ盛りで臆病者の僕としては聴かずにはおられません。 

また、この作品はAudibleの「オーディオファースト作品」ということで、Audible愛好家の僕としては聴かないなんて選択肢はないのです。 

「オーディオファースト作品」とは、第一線で活躍中の作家がAudibleのために書き下ろしたオリジナル新作です。一番最初に「音声」で表現される、Audibleでしか体験できない作品です。 

 実は金原ひとみさんの作品は初めて読み(聴き)ました。『蛇とピアス』など名前だけは知っていましたが、あまり明るいイメージは持っていませんでした。 

しかし、作品を聞いてみると、テンポの良さとユーモラスな会話が最高に面白い。そしてナレーションがなんともすばらしい。見事にキャラクターの特徴を使い分け、中年のおじさんの僕には文字だけ見ても絶対分からないであろうチャラい?言葉使いもすんなり頭に入ってきました。 

僕も年を取るにつけて守りに入るというか、安定した習慣のある生活に安心を感じているところがありますが、反面このままでいいのかという不安が心をもたれる感じにすごく共感を覚えます。 

しかし、新しい出会いやちょっとした出来事が自分の閉じこもった殻を破るきっかけになる物語は、希望を感じさせてくれました。 

この本があなたの新たなる希望に満ちた人生を歩み出すきっかけになるかもしれませんよ。 

『ナチュラルボーンチキン』はどんな作品?

45歳で独身、一人暮らしの浜野文乃は、出版社の労務課に勤めながら、仕事と動画鑑賞、ご飯だけが楽しみというシンプルで閉じた生活を送っています。

そんな日々に特に不満もない彼女が、ある日上司の命令で、在宅勤務ばかりで全く出社しない編集部員・平木直理の家を訪れることになります。

しかし、そこで彼女が目にしたのは、まるで現実感のない、平木の散らかった部屋。ホストクラブの高額レシートが山積みされ、シャンパングラスと生ハム、そして無造作に置かれた仕事用のiPad――浜野の整然とした生活とは正反対の光景です。 

物語は、この二人の対照的なキャラクターの出会いから展開していきます。

浜野が抱える、趣味も友達もなく、何となくルーティーン化した日々をやり過ごす人生と、平木が見せる、外からは理解しがたいよう派手で無秩序な生活。それぞれが自分なりの形で抱えている問題が浮き彫りになり、互いに少しずつ影響を与え合う中で、物語は進んでいきます。 

物語の前半は、浜野の平凡でどこか滑稽な日常と、自由奔放で自分の欲望にまっすぐに突き進む平木との絡み合っていないようでなぜかお互いに惹かれあう関係が笑いを誘います。

後半は かさましまさか との関係と、そのことによって蘇る浜野の辛く苦しい過去の記憶を通じて人生の厳しさや孤独を深く考えさせられる展開となっています。 

『ナチュラルボーンチキン』は、現代社会に生きる人々の葛藤や、孤独、アイデンティティ、他者との関わり方をテーマにしながら、時にユーモラスに、時にシリアスに表現しています。

特に中年期に差し掛かる人々に対して、自分の「拗らせ」をどう乗り越え、どう他者と関わりながら自己を再発見していくかという問いかけを含んだ作品です。

『ナチュラルボーンチキン』の感想と作品の魅力

『ナチュラルボーンチキン』は、一見シンプルで平凡な日常を描きながらも、現代を生きる中年女性の心の内を深く掘り下げた作品だと思います。

社会の期待や、周囲の価値観に影響されて苦しんだり、辛い別れを経験するなど、自分の幸せを失うことへの不安や恐怖が丁寧に描かれています。浜野の淡々とした生活の裏には、このような心理的要素が大きく関係しているのでしょう。

しかし、平木や かさましまさか との出会いが浜野の不安や諦めかならる殻を壊していく姿に安心と希望を抱かせてくれます。 

また、もう一つの魅力は、そのリズム感ある文章とテンポの良い会話。登場人物たちのやり取りは、どこか皮肉が効いていて、時にコミカルでありながらも、彼らの本音が垣間見える瞬間が魅力的です。

特に、平木とのやり取りは、浜野が自分の殻を少しずつ破っていく様子が軽快に描かれていて、聴いていてどんどんストーリーに引き込まれていきます。 

『ナチュラルボーンチキン』のAudible作品ならではの魅力 

『ナチュラルボーンチキン』のAudibleならではの魅力は、やはり音声ならではの臨場感と、キャラクターたちの個性や感情がすごく伝わってくるところなんです。以下で詳しく説明しますね。 

『ナチュラルボーンチキン』のAudible作品ならではの魅力
  • 日笠陽子さんのナレーション
  • 会話のテンポ感
  • 感情表現が深くなる
  • リズム感の良い文章

まず、日笠陽子さんのナレーションがほんとに素晴らしくて、これが作品全体の評価をすごく上げています。浜野文乃の「拗らせた」心の葛藤とか、平木直理のクセのあるキャラクターが、彼女の声によってすごくリアルに感じられるんです。日笠さんが演じることで、独り言から会話のテンポまで、普通に読んでるだけじゃ伝わりにくい感情の細かい動きが、耳で聞くとしっかり伝わってくるんです。 

次に、会話のテンポ感。この作品って、キャラ同士のやり取りがすごく軽妙でテンポが良いおで、文字で読むよりもナレーションで聞いた方がリズムがよく感じられあす。特に、文乃と平木の掛け合いや、文乃が皮肉たっぷりに自分を責めてるところなど、音声で聞くとすごくおもしろくて、引き込まれるんです。 

それから、感情表現が深くなるのも大きなポイント。文乃が抱えてる内面の悩みや、平木の不安、そしてマサカのミステリアスな魅力など、声のトーンや間の取り方で感情の揺れ動きがすごく伝わってきます。ですから、キャラたちが感じてる緊張感とか切なさが、リアルにこっちにも響いてくる。そういう瞬間に、自然と登場人物に感情移入しちゃうんですよね。 

最後に、金原ひとみさんの文章自体もすごくリズムが良くて、ナレーションにすごく合っています。言葉が畳みかけるように進んでいくのが心地よくて、ついつい次のエピソードも聴きたくなるんです。 

この作品はAudibleで聴くことで、文字で読む以上に感情やストーリーの流れを楽しめると思いますよ。 

最後に 

この物語は、金原ひとみさんが贈る中年版「君たちはどう生きるか」とも言われています。

浜野と平木という全く異なる人生を歩んでいる二人の関係を通じて、自分らしい生き方を模索する現代の人々へのエールを感じることができるでしょう。

浜野のように日々に埋もれてしまう人や、平木のように自分を見失いがちな人にこそ、手に取ってもらいたい一冊です。 

仕事に追われ、趣味もなく、日々がただ過ぎていくように感じている人に、この物語は静かな共感とともに、「生き方」を見つめ直すきっかけを与えてくれることでしょう。 

また、『ナチュラルボーンチキン』のAudible版の最大の魅力は、ナレーションを通じてキャラクターたちの感情が生き生きと描かれ、文章だけでは伝わりにくいニュアンスを深く味わえる点にあります。

日常生活の中で気軽に作品を楽しみつつ、現代社会に生きる私たちに考えさせられるテーマがしっかりと伝わるという、Audibleならではの体験が魅力的です。

ぜひ一度Audibleならではの読書体験を味わってみて下さい。想像以上の楽しさにビックリすると思いますよ。 

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