子供の20歳の誕生日が来ると、突然やってくる国民年金の納付書類。
え!子供の国民年金保険料って、親の扶養に入っているから払わなくていいんじゃないの?
いえいえ、国民年金の保険料は健康保険とは違って、親の扶養に入っているから払わなくていいというものじゃないんです。
年金なんて将来どうなるかわかんないんだから、働くようになってから払えばいいんじゃない?とりあえず学生のうちは未納にしとこうかしら。
それ、絶対ダメ!!!!!!!!それだと恐ろしい事態にになってしまう危険があるんです。
年金は老後に受け取る老齢基礎年金のほかに、事故や病気で重度な障害を負ってしまったときに一生涯受けとれる障害年金と、遺族年金という3本柱でなっています。
この中の障害年金が受け取れない事態になってしまうんです。
でも、子供は学生でお金ないし、毎月年金保険料払うなんて無理だよ。
こんな方に向けて、学生の年金保険料の未納を回避する対処法を紹介しますね。
①親が子供の代わりに保険料を納付
②学生納付猶予特例制度を利用
それでは詳しく説明していきます。
結論、年金受給資格は絶対必要!
年金の本質は、人生のリスクに備える総合的な保険
年金は「老齢のリスク」「障害のリスク」「死亡のリスク」という人生の3大リスクから生活を守る仕組み
「老齢のリスク」何歳まで生きるかわからない → 老齢年金を死ぬまでもらえる
「障害のリスク」怪我や病気で働けなくなるかも → 障害年金をもらえる
「死亡のリスク」一家の大黒柱が亡くなるかも → 遺族年金をもらえる
障害年金受給資格の必要性
年金と言えば老後に受け取る老齢基礎年金がクローズアップされることがほとんどで、障害年金や遺族年金についてはあまり知られていませんよね。
しかし、若い世代に最も関係が深い年金が障害年金。
障害年金を受け取っている人は、20歳代の人で約21.2万人、30歳代の人で約27.8万人います。
若い世代の保険料未納は命取り
障害基礎年金を受け取るには、加入から初診日のある月の前々月までのうち、3分の2以上が保険料を納めていた期間(保険料免除・猶予期間を含む)である必要があります。
または、初診日の前々月からの直近1年間未納期間がなければOK。
もし、若いうちに病気や障害で重い障害を負ってしまって、それから急いで年金保険料を納めても、その期間は納付済み期間としては認められないのです。
つまり、一生涯受けとれるはずの年間何十万というお金が受け取れないという、悔やんでも悔やみきれない事態が起こってしまうんです。
国民年金保険料は割引がある
国民年金保険料は1か月当たり16,520円(令和5年度)となかなか高額なものです。
そこで、少しでも安く支払額を抑えたい、まとまった金額を納められるという方は、一定期間まとめて前払いする前納と、自動的に保険料が引き落とされる口座振替という割引制度を利用して保険料を安くすることをお勧めします。
令和5年度の口座振替による保険料額と割引額
口座振替2年前納の割引額は16,100円です
(令和5年度保険料16,520円×12カ月)+(令和6年度保険料16,980円×12カ月)=402,000円
402,000円-16,100円=385,900円
6か月前納 | 1年前納 | 2年前納 | |
令和5年度 | 97,990円 | 194,090円 | 385,900円 |
割引額 | 1,130円 | 4,150円 | 16,100円 |
令和5年度の現金およびクレジットカード納付による保険料額と割引額
現金およびクレジットカード納付2年前納の割引額は14,830円です
(令和5年度保険料16,520円×12カ月)+(令和6年度保険料16,980円×12カ月)=402,000円
402,000円-14,830円=387,170円
6か月前納 | 1年前納 | 2年前納 | |
令和5年度 | 98,310円 | 194,720円 | 387,170円 |
割引額 | 810円 | 3,520円 | 14,830円 |
親が子供に代わって保険料を支払うと節税メリットあり
節税メリットって?
学生である子供が保険料を納めるのは、正直難しいですよね。
それなら親が子供の分の保険料を代わりに納めるのはありなのか?
答えはありです。さらに、なんと節税になっちゃいます。
どれくらい節税できる?
例えば、所得400万円(所得税率:20%、住民税率:10%)のAさんの場合
令和5年度の国民年金保険料、月額16,520円×12か月=年間198,240円
198,240円×30%(所得税+住民税)=59,472円 となります。
つまり約6万円の節税になりますね。
控除は、年末調整や確定申告の際に、日本年金機構から送られてくる「国民年金保険料控除証明書」を提出すれば、受けることができます。社会保険料控除が受けられるのは、国民年金保険料を支払った日が該当する年になります。
尚、親が子供の年金保険料を支払い、社会保険料控除を受けるに当たって、「生計を一にする子」という文言がでてきますが、別居していても学費の支払いや仕送りなどをおこなっていれば生計を一にするに該当するので問題ありません。
学生納付猶予特例制度を利用しよう
20歳以上の大学生が保険料を支払うのが大変だからといって保険料を未納にしたままだと、将来の年金受給額が減るだけでなく、学生中に発症した病気やけがで重い障害の状態になった場合でも、障害年金を受け取ることができません。
そこで考えられるのが「学生納付猶予特例制度」です。現在6割以上の学生が利用しているとのこと。
学生期間中は国民年金保険料の支払いを猶予し、卒業後就職して収入を得られるようになったら、さかのぼって猶予されていた学生期間中の国民年金保険料を支払うというもの。
また、保険料の免除もしくは納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます
対象者所得基準(申請者本人のみ) | 128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等 |
申請先 | 住所地の市町村役場の窓口又は住所地の管轄する年金事務所の窓口 |
手続きに必要なもの | ①国民年金保険料学生納付特例申請書 ②学生証のコピー |
この手続きを行っておけば、学生期間中に発症した傷病や、就職して1年未満に発症した傷病によって、重い障害の状態になった場合でも障害年金が受給できます。
まとめ
年金はよく金融商品かのように損得で扱われますが、本質的な形は人生の様々なリスクに対する総合的な保険であることを理解する必要があります。
特に若い世代では少しの未納期間が取り返しのつかない事態を招く危険性をもつことになるので、絶対に未納期間をつくらないようにして下さい。
個人的な考えとしては、近年の学生は奨学金を借りている人も多く、卒業してから奨学金と国民年金を返済・追納していくのはかなり大変だと思います。
そこで、できることなら親が学生の間は支払うという形が一番良いのではないかと思います。
繰り返しになりますが、払えないから未納という形だけは絶対にダメです。
支払いが難しい場合は、年金事務所で相談し、免除や猶予などの制度を利用しましょう。
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