これからどんどん加速する少子高齢化の波、混とんとする社会情勢。
退職金をもらって悠々自適な老後生活。そんな時代は過ぎ去りました。
自分の老後はどうなるんだろう?年金だけでは生活していけないらしいし。
そんな不安を抱えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
僕も退職金がないので自分で老後資金を準備しないといけないです。
そんな人におすすめなのがiDeCoです。自分で年金を作る制度。近年よく耳にしますよね。
iDeCoに関心はあるけど、投資って損する可能性があるって聞くから始めるのにちょっと不安。
そんな方のためにiDeCoについてわかりやすく話していきますね。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とはどういうもの?
iDeCoとはどういうものなのかわかりやすく解説していきますね
iDeCoはなぜ必要なの?
iDeCoとは『国の年金とは別に、自分で老後資金を作るための年金制度』
老後の資産形成を自分でおこなう手段として最も優れていると言われています。
NISAやつみたてNISAと比較されることが多いですが、あくまでもiDeCoは年金制度だと認識しておきましょう。
老後までは使わずに貯めておくお金ということですね。
年金制度はどうなってるの?
年金制度は3階建ての構造になっています。
1階と2階
3階
国が運用・管理する公的年金
任意加入できる私的年金
国民年金・厚生年金
iDeCo/企業年金など
公的年金でもらえる年金額は厚生年金で月額で男性の平均約16万5千円、女性で約10万3千円。
国民年金だけだと男性約5万8千円、女性約5万3千円となっています。
また、総務省統計局のデータを参照すると、老後に必要な生活費は夫婦2人で約26万円。
生命保険文化センターの調査によると、老後にゆとりのある生活を送るための平均生活費は月約36.1万円となっています。
つまり、公的年金だけでは老後の資金を賄うことは難しい、 その不足分をiDeCoの個人年金で補おうということです。
出典元【2022年最新版】将来もらえる年金はいくら?国民年金・厚生年金の平均額!|タマルWeb|イオン銀行 (aeonbank.co.jp)
iDeCoはどういう仕組みになっているの?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は自分で運用機関・掛金を選んで(個人型)、自分で運用商品を選んで運用し(確定拠出)、積立資産を60歳以降に受け取る(年金)制度。 年金制度の3階部分にあたります。
iDeCoの年金資産は老齢給付金として原則60歳から受け取れますが、60~75歳の期間で受け取りを開始する時期を選べ、3つの受け取り方法から自分に合った方法を選べますよ。
出典元個人型確定拠出年金:iDeCo(イデコ) | 楽天証券 (rakuten-sec.co.jp)
iDeCoには誰でも入ることができるの?
IDeCoに加入できるのは20歳以上の国民年金に加入している人です。
会社員や自営業などで毎月の掛金の限度額が変わってきます。
出典元iDeCoの仕組み|iDeCoってなに?|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】】 (ideco-koushiki.jp)
いちばんのメリットはなんといっても節税効果
iDeCoのメリットといえばなんといっても税金を軽減できることです。
①掛金の全額が所得控除され所得税と住民税が安くなる
②投資信託の運用益や定期預金の利息に税金がかからない
③年金を受け取る時にかかる税金を軽減できる
掛金の全額が所得から控除され、所得税・住民税が安くなる
多くの人が毎年年末調整で生命保険料控除を受けていると思うので、生命保険料控除とiDeCoの所得控除の比較を見てみましょう。
(例)年収650万円(所得税率20%)の人が、毎月2万3000円の掛金を拠出する場合の生命保険との比較
出典元個人型確定拠出年金:iDeCo(イデコ) | 楽天証券 (rakuten-sec.co.jp)
生命保険計算方法:4万円×20%(所得税率)+2.8万円×10%(住民税率)=1万800円
iDeCo計算方法:掛金は全額所得控除のため、年間掛金の27.6万円×(20%所得税率+10%住民税率)=8万2800円
これを見るとiDeCoの節税効果のすごさがよくわかりますね。
iDeCoの所得控除の手続き
通常10月以降に国民年金基金から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が発行されます
所得控除の手続きを忘れると控除が受けられないので注意しましょう!
運用益や利息に税金がかからない
投資信託の運用益や定期預金の利息には通常20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでの運用益や利息には税金がかかりません。
毎月2.3万円、想定利回り3%、積立期間25年で資産運用シミュレーションをしてみると
出典元 資産運用シミュレーション : 金融庁 (fsa.go.jp)
25年間で利回り3%で運用できると335.8万円の収益となり、この利益には税金がかかりません。
仮にiDeCoを使わないで335.8万円の収益をあげると、約68万円も税金がかかります。
約68万円の税金がかかるか、かからないかの差はかなり大きいですよね。
また、『元本確保商品』という定期預金や保険商品を選んだ場合、定期預金の利率を0.01%として運用してみると、運用収益は9千円となります。
元本は保証されますが資産を増やすという面でみると、運用コストよりも運用収益が少ないため資産が減ってしまうことになります。
出典元資産運用シミュレーション : 金融庁 (fsa.go.jp)
20年くらいの長期間で投資をするのであれば投資信託で運用しても元本割れになる可能性はかなり低いので、運用益の非課税というメリットを最大限に活かすために投資信託での運用をおすすめします。
60歳以降に受け取る時にかかる税金を軽減できる
iDeCoで積み立てた資産を受け取るときにも税金がかかります。
この税金を軽減させることができる制度が2種類あります。
退職所得控除:退職所得にかかわる税金の負担を軽くしてくれる制度
公的年金等控除:年金にかかわる税金の負担を軽くしてくれる制度
また、資産の受け取り方によって用いる制度が異なります。
退職所得控除の計算方法
勤続・拠出年数20年以下:40万円×勤続・拠出年数(80万円に満たない場合は80万円)
勤続・拠出年数20年超 :800万円+70万円×(勤続・拠出年数-20年)
(例)勤続・拠出年数が20年の場合の控除額:40万円×20年=800万円
勤続・拠出年数が30年の場合の控除額:800万円+70万円×10年=1500万円
どの受け取り方が税制上お得かはそれぞれの人で変わってくるので、受け取り時によく考えて受け取り方を決めるようにしましょう。
いちばんのデメリットは60歳まで資産を使えないこと
iDeCoにはデメリットとして注意すべきことがいくつかあります。
①積み立てた資産は原則60歳まで引き出せない
②口座開設・運用中・受取時に手数料かかかる
③投資信託の運用成績によっては値下がりのリスクがある
④途中でやめることができない
⑤人によっては税金を軽減できるメリットが受けられない
⑥申し込んですぐには運用を始められない
原則60歳まで引き出せない
iDeCoは老齢給付金として老後の資金を受け取ることを目的としているので、積み立てた資産は原則60歳まで引き出せません。
60歳時点で加入期間が10年以上あれば60歳時点で受け取る権利が得られますが、10年に満たない場合は段階的に最高65歳まで引き出す年齢が遅くなります。
これがiDeCoをやるかやらないかで一番迷う要因じゃないでしょうか。僕もかなり迷いました。
いざというときにお金が必要になったらどうしようかと考えますよね。
対策としては無理のない少額から始めるということです。
iDeCoは5000円から始められます。不安な方はまずはそこから始めてみては。
積立金額は毎年1回だけ変更できるので、余裕があれば掛金を増やしていきましょう。
口座開設や運用中、給付時に手数料がかかる
口座を開設する時、運用している期間中、運用した資産を受け取る度に手数料がかかります。
iDeCo加入時、企業型確定拠出年金からDeCoへの移換時
国民年金基金連合への手数料
2,829円
iDeCo運用期間中
国民年金基金連合への手数料、事務委託先金融機関に支払う手数料料
105円/月
66円/月
iDeCoで積み立てた資金を受け取る時
事務委託先金融機関に支払う手数料
440円/1回
金融機関によってはさらに口座管理手数料がかかることもありますが、大手ネット証券会社だと無料のところが多いですよ。
この手数料もかなり重要なポイントになりますね。
国民年金基金連合への手数料2,829円は初回のみですが、毎月171円の手数料はかかります。
運用期間中は1年で2,052円の手数料がずっと発生し続けるということですね。
ですので、絶対積み立てた資金を減らしたくないと思って『元本確保型』の定期預金などを運用商品として選んだ場合、金利が0.01%などとかなり低いので運用利益が手数料より少なくなって資金を減らすことになってしまいます。
このように定期預金は節税メリットは享受できるが、運用面では元本割れになる可能性があります。
投資信託を通じて株などに投資する場合、運用成績によっては元本割れのリスクあり
投資信託の運用にはどうしてもリスクがあります。積み立てた資金に保証はありません。
しかし、長期・分散・積立の3つのポイントをおさえて投資を行えばかなりリスクは抑えられます。
iDeCoは60歳まで資金を引き出すことができないので、生活に必要な資金を確保しつつ、余剰資金で無理のない金額を毎月コツコツ65歳まで継続して積み立てていくことが重要です。
投資する運用商品は、手数料が安いインデックスファンドを選ぶと良いでしょう。
僕はSBI証券の『SBI・全世界インデックス・ファンド(全世界株式)愛称:雪だるま』で運用してますよ。 低コストインデックスファンド『雪だるま』シリーズ 新ファンド中国A株登場|SBI証券 (sbisec.co.jp)
途中解約ができない
原則として途中解約はできませんが、例外として脱退一時金受け取りの対象となる場合もあります。
しかし、脱退一時金を受け取れる条件を満たすのは限られた人のみです。
毎月の掛け金の拠出が難しくなった場合は以下の2つの方法で対応しましょう
・掛金を減額する(最低掛金は5000円)
・掛金の積み立てを一時停止する(毎月の手数料はかかります)
長期投資は長く続けることが一番利益を生む要素になります。
無理なく長く続けられる金額設定を慎重に行って下さい。
収入が低い人や控除が多い人は節税メリットがない場合もある
専業主婦(夫)の人やパートなどで非課税の範囲内で働いている人は、 もともと所得税・住民税を払っていない可能性が高いので、iDeCoの掛金による所得控除の節税メリットはありません。
また、住宅ローン控除により所得税を納めていない場合や少額の場合では、iDeCo掛金の所得控除による所得税の減税分が限定されます。
申し込んですぐには始められない。加入者資格の「審査」に1か月以上もかかる
この申し込みのめんどくささも、加入を躊躇させる要因ではないでしょうか。
僕も正直めんどくさいなぁと思いながら手続きしましたよ。
会社員や公務員の人は「事業者登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を会社に記入・押印してもらい提出しなければいけません。
※「事業者登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」は、企業年金の有無などによって掛金の上限額が異なるため、適切な掛金で運用されているかどうか会社に証明してもらう必要があるために提出します
向いている人は収入が安定している会社員
貯蓄の目的が老後資金の準備の人、貯蓄が苦手で強制的に老後資金を作りたい人
iDeCoは原則60歳までは引き出せないため、貯金をしても欲しいものがあったらすぐにお金を引き出してしまう人でも強制的に資産を築いていけます。
収入が多い人・安定している人
所得税は累進課税により収入が高ければ高いほど税率が大きくなります。
iDeCoによる所得控除により課税所得を減らすことで所得税税率を下げられ、大幅な節税になる可能性があります。
また、収入が安定していることで計画的に資産運用ができますね。
退職金がない、少ない人
退職金がない・少ない方は、iDeCoで積み立てた資産を受け取る時、一時金で一括で受け取ると退職所得控除のほうが金額が多くなり、税金を取られることはほぼないと思われます。
退職金がある人は、退職金とiDeCoの運用資産を合算したものから退職所得控除額を引くため、退職所得控除額より退職金とiDeCoの合算額のほうが多くなり、その差額の半分に対して税金が発生します。
投資に不安がある人
投資は長い時間をかけることで、一定の成果が得られる可能性が高くなります。
iDeCoも積立投資の一つですから株価の変動等で値の上がり下がりがあり、不安になることもあるでしょう。 そんなときでも怖いからやめようと思っても、強い強制力によってやめられません。
長期投資において一番やるべきではないことが、短期間での売買です。
とにかく長く続けることが投資の成果を生み出す最大の方法なので、投資未経験者・初心者の人で不安になりそうだと思う人にこそiDeCoの積み立て投資はおすすめのやり方です。
向いていない人は主婦(夫)や無職の人
60歳より前に必要な資金準備をしたい人
iDeCoは60歳まではお金を引き出せないため、60歳までに必要な資金をiDeCoで準備することはできません。また、短期間で運用益を増やすこともできません。
iDeCoはあくまでも長期投資で老後の資金を準備するものです。
生活防衛資金を準備できていない人、大きな支出の見込みがある人
子供の学費や住宅ローンの返済、親の介護費用や開業資金など、大きな支出の見込みがある人は、急に資金が必要になった場合iDeCoの資金は60歳まで引き出せないので使えません。
ある程度生活防衛資金が溜まってから、先の予定に見通しがたってから始めるほうが良いでしょう。
収入があまり多くない人、収入がない人
iDeCoは掛金が全額所得控除になり税制優遇がありますが、専業主婦(夫)や無職の人は所得税を払っていない可能性があるため、税制優遇を受けられません。
まとめ iDeCoは長く・コツコツ・無理なくやろう
これまでiDeCoについてこのようなことをお話してきました。
iDeCoは長い時間をかけて、日々の生活に支障が出ない範囲の金額をコツコツと安定した投資商品に投資して老後の資金を準備していく制度です。
資金を途中で引き出せないため、生活資金や子供の教育資金、住宅ローンの返済資金などを考慮して、無理のない金額を設定しなければいけません。
毎月の積立は余剰の資金で行うことを心がけましょう。
しかし、60歳まで引き出せないというのはデメリットだけではありません。
老後資金を確実に蓄えるうえではむしろメリットになり得ます。
最初は少額からでも良いので無理なく始めて投資に慣れていきましょう。
自分に合った投資方法が分かるようになってくると思います。
安心して老後を迎えるために一緒に勉強して資産を築いていきましょう。
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